僕は行政書士と消費生活相談員のダブルワークをしています。
普段は行政書士として、事業者様がインターネット・ビジネスを円滑に遂行するための特定商取引法対応など、事業者様視点で情報発信をしているわけですが。
もう一つの仕事の消費生活相談員は、消費者側からの苦情対応をしています。
そんな苦情を聴いていると、世の中にはルールを無視したり、そもそもルールを理解していない事業者も多いという現実も垣間見ております。
ビジネスをしていると、消費者とはお客様なのですが、いったん仕事を離れてネットショッピングなんかをすれば自分が消費者の立場にもなるものです。(消費者を自認されている方も会社で仕事をしている時間帯は事業者の立場になっていますね)
世の中に消費者になる側面がない人物など存在しないということです。
つまり、ダークパターンや詐欺の広告について知っておくのは、消費者としての自分を守ることと、事業者としてはそのような広告手法から距離を置くことで信頼感を高める効果が見込めます。
今回は、そのようダークパターンや投資詐欺のデジタル広告について、最近の事情を書きます。
投資詐欺の入口としてのSNS広告
SNS上で目にする広告が原因で投資詐欺に巻き込まれる被害は急増しています。
警察庁の発表によると、令和7年(2025年)の「SNS型投資詐欺」の認知件数は9,538件、被害総額は約1,275億円に上り、いずれも前年比で大幅に増加しています。
そうした投資詐欺の接触機会(入口)の多くは、YouTubeやInstagramなどのバナー広告から始まっており、著名人の画像や動画を無断で使用したもの、「必ず儲かる」「元本保証」といった消費者契約法的にNGワードの文言を含む広告も目立ちます。
それらには「ダークパターン」と呼ばれる巧妙なデザインや表示手法が潜んでいます。
ダークパターンとは、消費者の誤認を誘うテキストやデザインを表示して、消費者が意図しない行動を取るように誘導するものです。
消費者庁の調査でも、事前選択(チェックボックスで不利な選択肢が最初からオンになっている)、偽りの階層表示(目立つボタンで不利な選択肢を目立たなくする)、偽の口コミやランキング、偽の緊急性(カウントダウンタイマー)などが指摘されています。
デジタル広告でよく見られるダークパターン例
ダークパターン例としては以下のようなものが挙げられます。
偽装型:
ニュース記事や一般的な情報のように見せかけて、実際は投資商品の広告であるケース。
タップすると偽のサイトに誘導され、そこでさらにチャットグループ(LINEなど)へ誘われる。
誤誘導ボタン:
「今すぐ始める」「無料で診断」などの目立つボタンを配置し、実際には高額な投資契約につながる。
社会的証明の悪用:
「有名投資家も推奨」「すでに10万人以上が利益を出している」といった偽の声や数字で安心感を与える。
隠れたコストや条件:
最初は少額で利益が出たように見せかけ、後から多額の追加投資や手数料を要求する。
これらの手法は、入口としては一般のインターネットマーケティングでも使用されているものです。
出口が詐欺サイトに誘導されるという点が異なるのですが、入口の手法の比較だけでは良質サイトと悪質サイトの見分けがつきにくいのが厄介なところです。
良質サイトの運営者としては、「誇大広告」や「断定的判断の提供(必ず儲かる等)」は行わないということで差別化を図っていきましょう。
ダークパターン広告をタップすると、海外の未登録業者に誘導されることが多く、被害回復が極めて難しいのが特徴です。
一度グループに入ると「今だけ特別」「他のメンバーも儲かっている」といった心理操作が続き、冷静な判断が難しくなります。
デジタル広告の投資詐欺から身を守る具体的な方法
資産形成や節税をテーマとした広告では、「必ず儲かる」「元本保証」「短期間で倍」などの表現は、ほぼ100%詐欺のサインです。
投資に絶対はありません。
また、広告に有名人が出ていても、公式に確認されたものかどうかを本人の公式アカウントや報道で必ずチェックしましょう。
無断使用が非常に多いです。
それから金融庁の「登録業者検索」などで、相手が金融商品取引法に基づく登録業者かどうかを確認してください。
海外業者や未登録業者は特に危険です。
できるだけ広告のリンクはタップせず、ブラウザに直接URLを入力するか、公式サイトから検索してアクセスする習慣をつけましょう。
金融商品で「詳しくはこちらのグループで」と誘われたら要注意です。
クローズドな空間で心理操作が行われやすいです。
何故に減らないデジタル広告からの投資詐欺
デジタル広告は便利な情報源ですが、その裏に潜むダークパターンや詐欺の手口を知っておくだけで、大きな被害を防げます。
特に把握しておきたいのはデジタルプラットフォームが詐欺広告を野放しにしている実態です。
ロイターの報道によれば、Facebook・Instagram・Threadsを運営するMeta社は、詐欺広告や不正広告の排除を意図的に怠り、その分野での広告収益が2.5兆円に達するそうです。
詐欺広告の収入があまりに大きく、それを排除することが営業成績悪化に直結するため、詐欺広告を排除できないのであろうと言われています。
XやYoutubeでも事情は同じです。
ちなみにSubstackは今のところ、広告を表示しないビジネスモデルですから、詐欺広告の問題はほぼない優等生です。
そんなSNS広告の裏事情と消費生活相談の現場で起きている問題をnoteで短編小説として書いてみました。
消費生活相談員の仕事を覗き見るのは、なかなかにレアな体験かもしれません。
デジタル広告の闇と、そこから生まれる被害者の姿、プラットフォームの責任、消費者保護の課題を、エンタメ要素も含めて物語として体感できるよう執筆しました(22,000文字)。
下記リンク先の短編小説『SNS広告の欺瞞』では、SNS広告をきっかけに投資詐欺に遭った被害者の視点から、事件が起こるまでの経緯や、広告をめぐる社会の構造をリアルに描きました。(もちろんフィクションです)。
移動時間のお供にでも、読んで頂けたらとても嬉しく思います。
(更にnoteでコメントを書いて頂けたら天にも昇る喜びになります)。
以下のnote記事ではインターネット・ビジネスでの特定商取引法対策について書いております。
有料記事になりますが、無料部分だけでも役立ちます。
ネット・SNSビジネスで特定商取引法の違反リスクを避ける表示・広告対策
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