「英会話対応のビジネス塾を始めるけど、特定商取引法の対象になりますか?」
これってすごく悩ましい質問なんです。
結論から言えば、特定商取引法の対象にはなりません。
だからといって「契約書も用意しない」とか「中途解約にも応じない」という対応をすると消費者契約法に違反するリスクが高まります。
「英会話の教習」も「ビジネス教習」もSNSで需要の高いものですから、こうしたビジネスをする場合に、利用規約や契約書の内容をどうするかが運命の分かれ道となります。
英会話(語学教室)と英語対応ビジネス、これらの教習の違い
「英会話の教習がメインで補助的にビジネス教習もします」
「ビジネス教習がメインで補助的に英会話教習もします」
この二つを比較すると法的には決定的な違いが生じます。
前者は特定継続的役務の指定を受けるサービスになり、後者はそのような指定の対象外になります。
つまり英会話などの語学を消費者対象に教習するサービスは特定継続的役務の対象になり、法律で定められた様々な条件を満たす義務が生じます。
そうした義務を満たさないと契約から1年経過してもクーリングオフをされることもあり、消費生活センターへの苦情が多ければ消費者庁から行政処分を受けるというリスクにつながります。
特定商取引法の特定継続的役務とは?
特定継続的役務というのは、特定商取引法という消費者を対象としたビジネスのルールを定める法律で指定されるジャンルで、主に長期間のサブスクリプション契約が対象とされています。
具体的には以下の7つのサービスが対象になっています。
1.エステティック・サロン
2.語学教室
3.家庭教師派遣
4.学習塾
5.パソコン教室
6.結婚相手紹介
7.美容医療
現時点では、上記サービスのうち2ヶ月以上の期間に渡り一定の金額を超える契約が特定継続的役務の指定を受けます。
英会話ビジネスは語学教室に該当し、特定継続的役務の指定対象となります。
ビジネス塾は上記のカテゴリには入らないため、指定対象外になります。(ただし、SNS等のインターネットでの広告による集客を行う場合は、同法の通信販売ルールの適用を受けます)。
英会話の教習を行う語学教室については、契約者に対して概要書と契約書を紙媒体で交付する義務があり、クーリングオフや中途解約に応じる義務も生じることになります。
ビジネス教習を提供する事業者には、そのような義務は生じません。
ビジネス教習でも消費者契約法の適用対象
特定継続的役務の対象外となるビジネス教習であれば、契約書の交付義務はなく、クーリングオフや中途解約に応じる義務もありません。
義務がないなら契約書を用意する必要はないと早合点しがちですが、消費者保護のルールを定めているのは特定商取引法だけではないので注意が必要です。
そうなのです、特定商取引法が適用されなくても、消費者契約法が適用されることもあるのです。
消費者契約法とは、文字通り消費者を保護するための契約ルールを定める法律ですが、そこでは「不実告知」が禁止事項とされています。
「不実告知」とは、一言でいえば「契約時にウソを言ったらいけませんよ」という至極当然のルールですが、これが意外な落とし穴になることがとても多いのです。
僕は行政書士としてデジタル取引の契約書作成サービスを展開しているのですが、地元時自治体の消費生活相談員も兼務しており、消費者の苦情を聴いて販売事業者とあっせんを行うことも日常的にしております。
そうしたあっせん時には「不実告知」を根拠とした契約取消の主張をする機会はマジで多いです。
その際には事業者側の契約書を隅々まで参照し、消費者契約法や民法の規定に反するものをチェックするのですが、そうするとSNSでの広告内容と契約書の齟齬が容易に見つかり、証拠としてスクショを撮ることになります。
中途解約を認めず特定商取引法の処分となった例も
利用規約や契約書に「中途解約には応じない」という記載をして、それが不実告知として行政処分をされた事例(消費者庁2025年3月21日公表)もあります。
この処分例によれば、長期継続サービスの契約は民法の準委任契約に該当し、その準委任契約はいつでも解約できる性質の契約であるにもかかわらず、事業者は準委任契約に該当しないから解約できないという回答をしたことが不実告知にあたると認定されています。
この「いつでも解除ができる」という準委任契約規定(民法第651条)は、契約書や利用規約で「中途解約は認めない」という特約を設けたとしてもその効力を否定できません。
それにもかかわらず事業者側が「中途解約は認めない」という対応を続けると特定商取引法の不実告知に抵触することが示されました。
準委任契約とは、特定商取引法の対象外となるサービス全般にも該当します。
消費者を対象としたビジネスであれば、いつでも解約ができることが法律上の標準仕様だと考えておくべきです。
「不実告知」は消費者契約法だけでなく特定商取引法でも禁止とされているので、このように行政処分につながるリスクもあるということです。
消費者対象のサブスク契約では中途解約対応と契約書の整備が必要
ここまで読んで頂いた方は、消費者を取引相手とするサブスクのビジネスの利用規約に「中途解約はできない」という記載をすることはリスクが高いことだと感じられたと思います。
それでも商品やサービスの開発には膨大な手間と費用がかかり、広告に要する費用も高額です。
そうした莫大な初期費用をかけて継続サービスを提供しているのに、1ヶ月で解約されたら赤字確定なので中途解約の損失は最小限に抑えたいですよね。
そこで現実的な落としどころとしては、中途解約は認めつつ、解約をする場合には相応の違約金が発生する内容の特約を設けることになります。
違約金の定め方としては以下のような感じになります。
・サービスの提供期間に応じた契約なら、違約金は〇ヶ月分の料金。
・サービスの提供回数に応じた契約なら、違約金は〇回分の料金。
ただ、ここで強欲さを押し出して高額な違約金設定をすると消費者契約法に抵触してしまいます。
あくまで商慣習や消費者が納得できる範囲内の金額設定が必要です。
違約金の金額を請求するにあたり、合理的に説明が可能な算出根拠を示せる程度には検討をしなくてはなりません。
こうしたポイントを押さえて特定継続的役務の契約書や、その対象外となる継続サービスの契約書を用意していきましょう。
僕への質問権付の契約書雛形の販売もしているので、以下の契約書の用意を検討されている場合はリンク先ページをご参照下さい。(事業者側と消費者側と行政窓口の三者対応をしている専門家の助言は、自分で言うのも何ですが貴重だと思います)。
継続サービス業の契約書・プライバシーポリシー・特定商取引法表示の3つの雛形セット
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特商法の対象になるかどうかがビジネスモデルで変わるという整理、規約設計の観点から勉強になりました。SNS運用の時短ツールを個人で作って配布してるアカウントです🥺フォローさせていただきました。発信の続け方とか視点が参考になりそうだったので、フォロー返していただけたら嬉しいです。