インターネット取引で悩ましいのが返品ルールです。
インターネット通販にはクーリングオフ制度はないから、サイトに「返品不可」と表示しておけば返品・返金には応じないでもOK。
これは特定商取引法で認められた通販の常識です。
ここまでは、その通りです。
だがしかし、
「いかなる場合も返品は不可」
と表示してしまったら特定商取引法の違反行為になります。
「返品不可」と「いかなる場合も返品は不可」のニュアンスの違いってわかりますか?
(日本語って難しいよね)
「返品不可」は原則の表示で、これはセーフになります。
「いかなる場合も返品は不可」は例外も認めないということになり、ここまで断言するとアウトになります。
結論的には、特定商取引法で許容される返品特約(「返品不可」)と民法で定められた契約不適合責任(不良品等の扱い)についての規定の2つの返品ルールをサイトに表示しなければならないという話になります。
「特定商取引法の表示」とは?
通販サイトを閲覧していると、サイトの下部(フッター部)あたりに以下のようなメニューが表示されているのを見たことはあるかと思います。(無意識だと見逃しているかもしれませんね)
「特定商取引法の表示」
「特定商取引法に基づく表記」
「特商法表示」
これらは特定商取引法第11条で指定される通販事業者の表示義務事項について1ページにまとめて記載するためのページです。
事業者の所在情報や取引条件など、指定事項を一括表示して特定商取引法の要件を満たすために設置されています。
特定商取引法では1ページにまとめて表示することを要求していないのですが、事業者にとっても消費者にとっても1ヶ所にまとめたほうが見易くて便利なため、このような表示方法が一般化しています。
余談ですが、通販業者が適正に表示を行っているか抜き打ち査察する消費者行政機関にとっても、表示が1ヶ所にまとめてあるのは査察が捗って有益だという側面もあり、まさに“三方よし”ですね。笑
この特定商取引法第11条に指定される表示義務事項の中に次の2つがあります。
「商品・サービスの売買契約の申込みの解除」
「契約内容の不適合(不良品など)がある場合の販売業者の責任」
どちらも解約や返品に関する規定に関することなのですが、この2つは「混ぜるなキケン!!」です。
ついつい一言で「返品は不可です」で済ませてしまいがちですが、絶対にこの2つを混同してはいけません。別々に記載する必要があるのです。
特定商取引法に基づく返品規定(原則)
まず「商品・サービスの売買契約の申込みの解除」についてですが、特定商取引法では通信販売はクーリングオフ制度の対象外にしています。
通信販売は、消費者が自分の意思でショッピングをするものであるから、クーリングオフの必要はないとの判断です。
だがしかし、(クドイ?)
通販業者が契約解除に関する事項を何も記載していなかった場合には、消費者には8日間の返品をする権利が認められます。
これは「法定返品権」と呼ばれています。
つまり、通販業者は「(納品後は)返品は不可です」という表示は絶対に欠かせないのです。
ウェブ・ビジネスをされている方におかれましては、堂々と「返品不可」の表示をしておきましょう。
民法の契約不適合責任とは?
「返品不可」と表示したら、不良品を引き渡した場合も返品に応じなくてもいいの?
そう認識してしまう方は詐欺師コースに突入です。
安心して下さい、そんなわけはありません。
ここは民法が関わってくる場面です。
そこで先ほどの「契約内容の不適合(不良品など)がある場合の販売業者の責任」という表示義務も登場することになります。
民法の第562条・第563条では、不良品などの契約内容に適合しない納品があった場合(契約不適合責任)には、消費者側から「補修・代替物との交換・不足品の充足」など履行の追完請求ができることになっています。
この追完の方法は通販業者が決定できるので、消費者が不良品の交換を希望しても通販業者が修理対応を行うことも可能です。
不良品だったからといって、消費者側からいきなり返品・返金の請求ができるわけではありません。
この契約不適合責任に基づく追完請求の権利行使が可能な期間は不適合を知ったときから1年以内というのが原則です。
ただし、通販業者はその対応期間を「特定商取引法の表示」ページに記載することで短縮することもできます。
これらのルールを簡潔にまとめて表示すると以下のようになります。
「不良品や品違いについては、商品の到着後〇日以内の申告に限り、交換対応を行います。交換できる商品がない場合には返品・返金の対応を行います。」
このようなルールを設けて運用するのは適法です。こうした表示を欠いた場合には、民法の原則通り1年間の交換や返金対応が必要になります。
「〇日以内」のように限定するのは適法といっても、極端に短縮しすぎるのは権利濫用になるので、「7日」より短い期間にするのは止めた方がよいでしょう。
この2つの返品ルールの表示に不備があった場合
「商品・サービスの売買契約の申込みの解除」
「契約内容の不適合(不良品など)がある場合の販売業者の責任」
この2つの返品ルールの表示に漏れや不備があった場合については、特定商取引法第11条に違反することになります。
悪質な場合では業務停止などの行政処分の対象になります。
更に、前述のように「契約解除について」記載がなかった場合には、消費者に8日間の法定返品権が認められます。
また、「不良品などの扱い」について記載がない場合は、1年間は消費者から交換や返品の要求があれば応じなくてはなりません。
こうした不備に対して、無知から消費者の要求を拒んでいると消費生活センターの介入を招くことにつながり、それが蓄積すると行政処分コースになってしまいます。
このように「特定商取引法の表示」は、ちょっとした不注意の表示不備があっただけで、後から手痛いダメージを受けることがあります。
同業者のページをコピペして用意するとか、生成AIに丸投げするとかは結構なリスクになります。
自社の取引条件を整理して、表示義務事項の各項目を埋めていくというひと手間を惜しんではいけません。
まとめ
「特定商取引法の表示」を軽視するといろいろマズいということは把握できたかと思います。
特に返品・返金に関する事項は超重要だということもお判り頂けたことでしょう。
「商品・サービスの売買契約の申込みの解除」
「契約内容の不適合(不良品など)がある場合の販売業者の責任」
この2つについては、以下のように表示すれば大丈夫です。
「ご注文が確定した商品については返品・返金には応じられません。」
「不良品や品違いについては、商品の到着後〇日以内の申告に限り、交換対応を行います。交換できる商品がない場合には返品・返金の対応を行います。」
これは絶対に2つとも表示が必要な事項です。混ぜて短縮して「返品不可」とだけ表示していたらアウトです!!
消費者保護の規定ではあるのですが、事業者を守るための表示事項ともいえます。
ルールを守って末永く継続できるインターネット・ビジネスを目指しましょう。
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筆者は適正表示をして顧客から信頼されるビジネスを継続させるための情報発信をしています。
お時間があれば以下リンク先のnoteもご参照下さい(無料です)。
ネットで稼ぐ第一歩!特商法・景表法の重要点とすぐに出来る対策を解説
以下のnote記事でもインターネット・ビジネスでの特定商取引法対策について書いております。「特商法の表示」に関する全表示義務事項についても解説しています。有料記事になりますが、無料部分だけでも役立ちます。
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