Substackって海外ユーザーの方が圧倒的に多いよね。
だったら海外向けに日本発の情報を売ったらいいじゃん。
誰しもが一度くらいはそう思ったことはあるのではないでしょうか?
海外向けに有料メルマガを発行するなら、Stripe決済の設定さえ出来ていれば、今日からでも売上が作れてしまいます。(ただし、有料購読者がいればの話)
無料メルマガでも、海外の読者を増やして自分のランディングページに誘引すれば越境取引が出来てしまいます。
しかも最近は自動翻訳機能もあるので、日本語でセールスレターを書いてもいけてしまうかもしれません。
Xやnoteでも自動翻訳機能があるので同じことが言えますね。
逆の視点では、海外勢が英語で書いたセールスレターを自動翻訳を介して日本人が日本語で見て、商品なりサービスの購入手続きをすることも可能です。
そうなると国境は実在するものの、読者の意識の上では国境は余裕で超えてしまっていることになります。
いやあ、すごい時代になりましたね。
それでもビジネスでは何もトラブルが起きないということはありえません。
そんな越境取引絡みでトラブルが起きたとき、どこの国の法律で解決を図るべきかという問題が生じます。
準拠法とは
越境取引で問題が生じたときに、どこの国の法律を適用するかというのが準拠法になります。
どこの国の法律に準拠して解決していくかを決めるということですね。
契約書を締結する場合は、事前に準拠法を定めておくのが通例になります。
大抵は立場の強い側が準拠法を指定します。
例えば、僕らがグーグルのサービスを利用する場合、グーグルが定めた利用規約で準拠法はアメリカ合衆国・カリフォルニア州法だと指定されています。
Substackも同様です。
これが個人間での越境取引だとケース・バイ・ケースになりますね。
事前に準拠法の取り決めをしていれば、それに従うことになります。
そんな取り決めをしていない場合は、日本では通則法を参照します。
通則法のルール
通則法(法の適用に関する通則法)とは、国際的なトラブルや契約で「どの国の法律を使うか」を決めるための日本のルールを定めた法律です。
通則法の適用例をいくつか挙げてみます。
代金未払い等の不法行為については、「加害行為の結果が発生した地」の法律が適用されるので、被害者の国の法律が適用されます。
ただし、システムトラブル等の予見できない事情があったときは加害者の国の法律が適用されます。(通則法第17条)
不法行為でも名誉棄損については被害者の国の法律が適用されます。(通則法第19条)
準拠法は、当事者の合意によって、どちらか一方の国の法律に定めることができます。(通則法第9条)
事業者と消費者間の消費者契約については、準拠法を事業者の国の法律に指定していたとしても、消費者の国の消費者法を適用することができます。(通則法第11条)
つまり、日本の消費者が海外事業者と取引した場合、日本の特定商取引法のクーリングオフ制度が利用できることもあるわけです。
このように越境取引の分野でも、特定商取引法が適用される場面があって、特定商取引法の威力というのは強力だということが再認識できます。
ちなみに海外事業者が日本語のホームページを公開した場合、その利用規約で準拠法をキプロスとか馴染みのない国に指定していることがあります。
それだけで責任逃れをする気マンマンの悪質業者だと読み取れるのですが、日本語表記にしている時点で日本の消費者を対象としたビジネスだと解釈できるので、通則法第11条に基づいて特定商取引法の適用が可能になります。
外国語表記のセールスレターが自動翻訳で日本語になった場合は、日本人をメインターゲットにしていない事業者であれば日本の法律の適用は厳しいかもしれません。
欧州とのビジネスにはGDPR
欧州には、GDPR(一般データ保護規則)という個人データとプライバシーの保護に関する厳格なルールが存在します。
例えば、英語などの欧州の言語でホームページやセールスレターを公開した場合、それは欧州との取引をする気があるとみなされます。
すると自動的にGDPRが適用されます。
とにかくGDPRは個人データの管理について厳しいことが有名になっており、違反した場合の罰金も日本の水準とは比較にならないくらい高額です。
欧州との取引をするならGDPR準拠の情報管理体制を構築しなければなりませんが、そうでないなら欧州言語でセールスレターを公開するのはリスクの方が大きくなってしまいます。
Yohoo!JAPANもGDPR制定以降に英語表記の情報提供を中止してしまいました。
それもリスク管理の観点からの措置だと言われています。
英語表記の世界相手のビジネスは魅力的ですが、GDPRの攻略は不可欠といえそうです。
僕は、語学関係は貧弱でGDPR関連はフォローしきれていません。
海外相手のビジネスを考えている方の力にはなれそうもないので、その点はご容赦ください。涙
なお、日本語表記が自動翻訳で英語表記になったことから生じたビジネスは、件数が少なければ準拠法を日本とすることで問題はないでしょう。
ただし、そうしたケースでの欧州との取引のボリュームが増えたときは、実質的に欧州との継続的取引とみなされるでしょうからGDPR準拠が求められることになるかと思われます。
メインのターゲットをどこの国とするか
世界規模でのSNSでのつながりや自動翻訳機能というのは人類にとっての福音だと思います。
ただ、自動翻訳機能がもたらす海外との取引は、国内取引と事情が異なることは認識しておく必要はありそうです。
ただ、必要以上に委縮する必要はないと思います。
僕は職業柄、どうしてもリスクの方に目が行ってしまうのですが、この記事に書いたようなことはレアケースです。
国内をメインターゲットに運用しているのなら、準拠法は意識をする必要はありません。
その代わり、特定商取引法と景品表示法については必要最小限の把握はしておいてください。(僕のメルマガを受信して頂ければ概ねフォローできます)。
戦略的に海外とのビジネスを志向される場合については、Substackで有料メルマガを発行するだけならSubstackの利用規約に基づいての取引なので心配無用です。
しかし、本格的に海外との取引を視野に入れるなら、欧州ならGDPR、その他の地域ではその地での取引ルールを事前に調査して対応しておく必要はあります。
メインターゲットを明確にして、取引に関する法務対応を万全にしておきましょう。
【告知】
僕は行政書士と消費生活相談員の複業をしながら、インターネット・ビジネスの消費者法対策についてコンサルティングや契約書作成を承っています。
以下のnote記事でインターネット・ビジネスでの特定商取引法対策について書いております。有料記事になりますが、無料部分だけでも役立ちます。
ネット・SNSビジネスで特定商取引法の違反リスクを避ける表示・広告対策
契約書の作成やコンサルティングなど、仕事依頼の方法については以下のページにてご案内しています。
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