行政書士の遠山桂です。
今回は広告でよく見るキャッチコピーの「強調表示」、それに対比する形で注釈書きを掲載する「打消し表示」の対比について、あるあるな話と注意しなくてはいけないポイントについて解説します。
突然ですが、
「ラーメン一杯200円 出血大サービス」
という特価を強調する広告を見かけたらテンションが上がりませんか?
僕は上がりまくります。笑
今日のランチ代は大幅に予算が浮いたと天にも昇る気持ちになっちゃいます。
しかし、そのキャッチコピーの直下に・・・
「ただし、イケメンに限る」
という注釈書き(打消し表示)を見かけたらいかがですか?
僕は、地獄の底に突き落とされた気分に沈んでしまいます。泣
そんな打消し表示を見つけても、自分は特価の対象者だと自認できる方がうらやましい。そんな世界線に生まれたかった!(ムリだよね)
広告というのは、誰もが振り向くような魅力的なキャッチコピーで「強調表示」を仕掛けつつ、販売条件や制限事項などの注意書きの「打消し表示」をセットで示すという構成で成立します。
その「強調表示」と「打消し表示」のセットについて、景品表示法でも各種のガイドラインによってお作法が定められています。
お作法を無視して行儀の悪い広告を表示していると、ある日、突然に消費者庁から怒られることになってしまうので注意が必要です。
「強調表示」と「打消し表示」の不適切例
広告で「強調表示」と「打消し表示」をセットで使う場合は、どちらも同程度の文字の大きさで表示するなら景品表示法的な問題は起きにくくなります。
こんな感じの表示ですね。
ただ、これだと正直で誠実ですが、閲覧者の関心を惹きつけることを目的とする広告デザイン的には落第になるでしょう。捻りもなにもないですし。(一周回って斬新かもしれませんが?)
やはり「強調表示」を目立つように大きく表示して、「打消し表示」は目視できる程度の大きさに留めるのが普通になるかと思います。
「打消し表示」を用いる場合には、文字バランスや文字配色、文字配置によっては「打消し表示」の告知が不十分となって、不意打ち性が問題になることがあります。(景品表示法的にNGとされます)。
その3つのパターンについて見てみましょう。
<文字バランスの不正>
これだけ打消し表示の文字が小さければ見落としてしまうかもしれません。
<文字配色の不正>
打消し表示と背景が同系色だと見落としてしまうでしょう。
<文字配置の不正>
強調表示と打消し表示の配置が50cmも離れていたら見落とし確実です。
以上のように、「打消し表示」がわかりにくい表示になっている場合は、販売条件を正しく読み取ることができないため、優良誤認や有利誤認といった不当表示として消費者庁の処分対象となるリスクが高まります。
基本的には、常識的に読める文字の大きさ、配色、文字の配置になっていればそれほど問題になることはないので、過剰な心配をする必要はありません。
特に問題視されるのが「体験談型」
「打消し表示」には、イケメン以外には販売しないという販売条件の例外を表示する「例外型」や、イケメンの他にも20代限定という条件を付け加える「別条件型」のような型があります。
その中で特に問題が生じやすいということで、消費者庁が厳重警戒をするのが「体験型」です。
「体験型」とは、商品やサービスについて絶賛するお客様の声を掲載しつつ、「ただし、個人の感想です」と免責を図る表現方法です。
体験談には影響力があるので、消費者庁としては広告に体験談を用いる場合には事業者に慎重な扱いを求めています。
具体的には、体験談を使用する場合にはエビデンスを表示することを求めています。
その表示内容としては
(ⅰ)被験者の数及びその属性
(ⅱ)そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合
(ⅲ)体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示
以上の3つを表示することが必要です。
これらのエビデンスを用意できない場合は、「お客様の声」は表示しないという判断も必要になります。
「打消し表示」の不当表示はダークパターン
不正な文字バランスや文字配色、文字配置の「打消し表示」をデジタル広告で用いた場合にはダークパターンとみなされるようになっています。
ダークパターンとは、ユーザーを視覚的・心理的に誘導し、意図しない商品購入や個人情報の登録、サービスの定期契約などをさせる「人を騙すためのデザイン手法」とされるものです。
2026年時点の特定商取引法や景品表示法では、ダークパターンは直接的に禁止されていませんが、改正議論がされており取締りは厳格化していく可能性があります。
欧米ではダークパターンを禁止する規定が導入されているので、日本でもそうした流れになることでしょう。
また、ダークパターンに対する消費者の嫌悪感も高まっているので、法的処罰はなくてもSNSで批判されて炎上するリスクは現在でもあります。
ダークパターンにはならない適正な「打消し表示」を心掛けたいものです。
ダークパターンを巡る問題や特定商取引法の改正情報については、今後もこのニュースレターで配信していきます。(noteでは、そのあたりの記事もたくさん書いております)
適正な「打消し表示」のコツ(まとめ)
「強調表示」と「打消し表示」の組み合わせは、デジタル広告やホームペーで多用するでしょうし、Substackでも普通に使いますよね。
その際のチェックポイントを以下にまとめます。
(ア)打消し表示の文字の大きさ
一般人の視力で普通に読取りが可能な大きさで表示しなくてはいけません。
(イ)強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス
強調表示が100ポイントで、打消し表示が10ポイントというような極端な対比がある場合は明らかにバランスが悪いと判断される可能性があります。
(ウ)打消し表示の配置場所
強調表示が表面で打消し表示が裏面に記載するなど、両者の関連性を気づけないような配置はNGになります。
(エ)打消し表示と背景の区別
背景が白地で打消し表示の文字色が薄いグレーにするなど、視認性が悪い表示はNGです。
これらのポイントに気をつけて、閲覧者にとって理解がしやすい表示をするように努めましょう。
最後に全くの余談です。
僕はnote等でデジタル取引と消費者法関連の記事を書き溜めていますが、まじめなレポート調で書くこともあれば、お笑い要素を含めて書く場合もあります。
お笑い(おふざけ?)満載で、ガンダムのネタでダークパターンを解説するというチャレンジもしております。
以下のnote記事(駄文?)のシリーズもついでに読んで頂けるとありがたいです。
感想などを頂けたら舞い上がってしまうと思います。お時間のある時にでも是非、よろしくお願いします。
ウェブの強制登録にうんざり!シャアも呆れるダークパターン事例(1)|遠山桂note
僕のSubstackの記事バックナンバーについては下記をご参照下さい。







「ただし、イケメンに限る」という、誰もが一度は耳にしたことがあるジョークを入り口に、景品表示法のシビアな「打消し表示」のルールへ鮮やかに繋げる展開、引き込まれました!
広告デザインとしての見栄えと、法律が求める誠実さのバランスは本当に難しい部分ですが、文字バランスや配色、配置といったNGパターンが視覚的にとても分かりやすく整理されていて大変勉強になります。
特に「体験談型」におけるエビデンス表示の厳格さや、近年注目されている「ダークパターン」への言及など、2026年現在の最新の法規制の流れがしっかりと掴める素晴らしい実務レポートですね。ガンダムのネタで解説されているというnoteの記事も、どのような切り口なのか非常に気になります!