「SNSの利用って、基本的に無料だよね。」
「Youtubeも視聴するだけなら無料だし。」
「Substackも無料で使い倒しているわ。」
そうするとこれらのデジタル・プラットフォームってどうやって収益を得ているかという疑問にぶつかります。まさかボランティアで無料奉仕をしてくれているわけではなかろうもん。
そんなプラットフォームの収入源ですが、大まかに言って、無料で利用できるプラットフォームがマネタイズする方法は2つあります。
一つはタイムラインに広告を表示して広告収入を得るもの。
もう一つはフリーミアムモデルで収益を上げるもの。フリーミアムとは、基本的な機能やサービスを無料で提供し、さらに高度な機能や特別なコンテンツを利用したいユーザーにのみ課金して収益を得るビジネスモデルです。
有料メルマガ(ニュースレター)の手数料で課金収入を得るSubstackは、フリーミアムのビジネスモデルを採用していることになります。
とりあえずこれらのサービスの初期利用時は、誰もが無料でスタートできるので特定商取引法の規制対象にはならないことになります。
現行の特定商取引法は無料サービスを対象にしていない
特定商取引法(特商法)って、消費者にとってはありがたい保護ルール、事業者にとっては厳しい規制ルールが定められた法律なんですよ。
クーリングオフがその代表例になりますが、消費者にとっては安心保証、事業者にとっては鬼の返金制度という両面があります。
インターネット取引のビジネスは、特商法では通信販売というジャンル分けをされています。その通信販売ルールでは、クーリングオフは適用されないという事業者にとっては優遇措置が図られています。
それは通信販売が消費者が自主的にショッピングするものであって、訪問販売のような押し売りでの不意打ち性はないとされてきたからです。
それでも通信販売には取引情報の表示や最終確認画面の表示といった義務も定められています。
そんな特商法の対象になるのは「有償の契約」に限定されています。「無償の契約」については同法の対象外になります。
すると利用開始時には無料のサービスとなるSNSプラットフォームは特商法の適用は受けないということになります。無料のサービスなんだから、利用者(消費者)には金銭的被害は生じないし規制しなくてもよいだろうという判断になっているのです。
SNSって個人情報を収集して広告でマネタイズしているよね?
でも、ちょっと待った!
確かにSNSは無料で利用できるけど、利用者は登録の際に個人情報をプラットフォームに提供しているし、利用者のタイムラインにゴリゴリに広告を表示してきますよね?
その広告も、利用者の年齢・性別や利用歴を学習したパーソナイズド(個別化)されたものをしつこく表示してきますよね?
これって個人情報を広告を介してマネタイズズしているってわけで、利用者は何も損をしていないと言われると少し引っ掛かりはしませんか?
消費者庁の中の人もSNSのフリーミアムモデルを問題視
もちろん、フリーミアムモデルのSNSでも、課金サービスは特定商取引法の通信販売の対象になります。だからSNSプラットフォームも課金時には「特定商取引法の表示」と「最終確認画面」にはしっかりとこの表示を行っています。(この2つの表示義務についても諸々のトラップがあるので別の機会に解説しますね)
でも、SNSに初期ユーザー登録をして、無料で利用している段階では、タイムラインにどぎつい広告が表示され続けても、その広告をタップして高額商材を購入しようとも、プラットフォームには責任はなく、特定商取引法のルールには縛られないという状況が放置されています。
だからFacebookやXに前澤友作さんや堀江貴文さんの偽装をしたアカウントが跳梁跋扈しても、プラットフォームはロクに管理責任を問われず社会問題にもなりました。(ロイターの報道によるとFacebookとInstagramを運営するMeta社は詐欺、禁止商品の広告とダークパターンで得た不当収益が約2.5兆円にも上るとのこと)。
さすがにこうした状況には消費者庁の中の人も激おこです。
そりゃそうでしょう。
そこで特定商取引法の改正を検討する「デジタル取引・特定商取引法等検討会」が開催され、ダークパターン規制などが議論されています。
その中で、「一見無償に見える取引(消費者がデータや時間を拠出しサービスを享受)」についても規制が必要だと指摘されています。
これはまだ消費者庁検討会の内部での議論なので、実際の改正法ではどのようになるかはわかりませんが、SNSサービスのフリーミアムモデルも新ルールの適用と新たな罰則の誕生という可能性はそれなりに高くなるように思います。
実は消費者契約法は現在でも無料サービスを対象にしている
現行の特定商取引法では無料サービスは規制の対象にならないことは確認しました。
でも、実は消費者契約法では無料サービスも適用対象になることを把握しておく必要があります。
ん?
ここで何かまた新しい名称の法律が出現したぞと身構えてしまいますよね。
消費者契約法とは、ものすごく乱暴に言うと特定商取引法の親のような存在の法律です。
子の至らないところは親が面倒を見る的な。
その消費者契約法では、無料サービスであっても、それが事業者と消費者という関係性での取引であれば適用対象にしています。そのため、事業者がウソを言う(不実告知)とか、消費者が不利になることについてダンマリをする(事実不告知)といった行為があれば、消費者はその契約を取消しして返金請求をすることを認めています。
つまり無料サービスだからといって、全ての法律の縛りから解放されるわけではないのです。お天道様は見てるぜ、やったね。
その他にも、景品表示法などはSNSに表示される広告を規制していたりします。無料だからと言って放置プレイする現行の特定商取引法がイケズだということになります。これから法改正があるので、その改正内容には注目したいところです。(改正情報はnoteやニュースレターでもお伝えしていきます)。
そういえばSubstackも無料だけど有料メルマガを発行したらどうなるの?
ここまで読んで頂いた方は、「ところでSubstackはどうなのだろう?」と思いますよね?
初期登録は無料、だけれども有料メルマガを発行すると手数料を運営から徴収されちゃいます。
これは初期段階は特定商取引法の適用対象にはならず、有料メルマガの発行をする段階で同法の適用対象にステージがチェンジすることになります。
そのあたりの詳しい事情は以下のバックナンバーをご確認ください。
フリーミアムモデルも規制対象になることを覚悟
その際に求められるのは適正な情報表示
SNSを利用したビジネスは、その入口が無料ということもあり、あまりビジネス臭がしないことが特徴になっています。
それでもSNSビジネスには様々なトラブルが生じています。
僕は事業者対象の法務研修(セミナー)もしていますが、その際には以下のリンク先記事のようなテーマで注意喚起もしています。お時間があったら読んでみて下さい。
SNS集客している事業者が今すぐやるべきセキュリティと法務対策セミナーの参加者感想|遠山桂note
Substackも含めて、SNSでビジネスを展開するなら特定商取引法の情報表示義務には適正に対応しなくてはなりません。
しかも、特定商取引法は改正を控えており、新たなルールが導入されることが予想されます。
特定商取引法の違反とはならない形で、SNSビジネスに取り組んでいくためには処分事例や法改正情報のチェックが不可欠です。
でも、ビジネスの本業で忙しい皆さんがそんな細かなところまで把握するのはたいへんな作業になってしまいます。
そこで僕のニュースレターを購読して頂ければ、肩の凝らない解説でポイントに絞った解説をご提供します。
このニュースレターは有料転換する予定はないので心配ご無用です。ぜひとも引き続きご購読ください。
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最後に本記事とは全く関係ない和み系読み物のご案内です。笑
ガンダム(ジークアクス)をネタにコント形式でダークパターン解説をするというお笑い系テキストをご提供しております。どうか気軽に読んでやって下さい。
だまされてクッキーの強制的情報開示|シャアも呆れるダークパターン事例|遠山桂note
このニュースレターのバックナンバーは以下のリンク先をご参照下さい。
Substackのバックナンバー




遠山さん、良い記事ありがとうございます🙏
僕も昔、メルマガを運営したり、有料コンテンツを販売していた時期があったので、法律遵守にはかなり気を使っていました。
だからこそ、この記事の内容はとても大切だと感じます。
特にこれからSubstackを使ってサービスやビジネスを始めようと思っている方には、ぜひ知っておいてほしい内容ですね。
後になって「知らなかった」で自分が泣きを見ることがないように、こうした情報を事前に知っておくことは本当に大事だと思いました✨