「契約書はウェブに表示するか、DMでPDFを送信すればOKだよね?」
通常のネット通販なら、それで正解です。パチパチ(拍手)
でも、アップセル(上位サービス販売)やクロスセル(関連サービス販売)をやっていたら、その表示方法では特定商取引法の違反行為として消費者庁処分を受けるリスクが爆上がりします。
自社ではネット通販と認識して契約書はウェブ表示で済ませていたら、実は消費者庁的には電話勧誘販売だとみなされて処分を喰らうという事態も十分にありえます。
そのリスクについては以下の過去記事で解説しております。
とにかくもう、
悪いことは言わないから、
特定商取引法の対象となるビジネスでは、
純粋なネット通販以外は紙文書で契約書を交付しておきなさいということです。
DXで紙文書は過去のものになったのでは?
とにかく最近はAIとかDX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードがあちこちで飛び交い、紙文書は軽視されがちです。
税法の分野でも、デジタル契約書は非課税なのに紙の契約書には収入印紙の貼付が義務化されていたりします。紙の契約書には課税されるとか、とにかく紙文書は親の仇かというくらいに嫌われて肩身が狭いようです。
もう紙文書なんて過去の遺物だよね?
デジタルネイティブ世代はそんな感覚かもしれません。
でも、しかし、
特定商取引法の対象となるビジネスでは、一部(通販)を除き契約書は紙文書で交付することが義務化されています。
ウェブで表示とか、PDFで送信とかで済ませていたら、特定商取引法違反で処分コースに一直線になってしまいます。
アップセル・クロスセルは電話勧誘販売
消費者庁は、SNSやホームページから低価格のフロント商材を販売し、その後にLINEやDM機能で高額なバックエンド商材を販売するマーケティング手法に最大限の警戒をしています。
ホームページで健康食品の通販をしている業者が顧客にアフターフォロー交信を行い、その後にアップセル販売をしたケースで、これが電話勧誘販売と認定されて契約書不備を理由に処分が下された事例もあります。(令和7年6月26日 北海道経済産業局)
LINEやSNSのDM機能の交信なら、テキストベースだから電話勧誘にならないのでは?とも考えがちですが、消費者庁の解釈はそうではありません。
しかもテキストベースの交信記録は消費者側でもスクリーンショットが可能なため、アップセルやクロスセルの勧誘があったことは容易に証明可能になります。
ここで「ウチは通信販売だから契約条件はウェブで表示すればよいはず」と抵抗しても無駄です。
アップセル・クロスセルの販売を行ったら、業務ルーティーンとして電話勧誘販売用の契約書を紙媒体で郵送するよう取り組むべきです。
「特定商取引法の改正で契約書のデジタル交付が認められた」という罠
僕のクライアントの通販業者さんからも、
「特定商取引法の改正があって、契約書のデジタル交付が認められたと聞いたけど」
という問い合わせもよく頂きます。
それはガセネタではなく事実です。
令和5年6月1日の特定商取引法の改正で、契約書のデジタル交付が一部解禁になりました。
つまり、原則として「紙媒体で交付する義務」というのは現在でも残っており、デジタル交付はごく例外的に認められる手段だということを理解しなくてはなりません。
その例外措置というのは、一定の要件を満たす場合に、消費者の「デジタル交付を希望する」という承諾を得たうえで、デジタル交付が可能になるというもので、事前に紙媒体の「承諾書」を交付する必要があり、その「承諾書」の運用ルールも複雑になっています。
正直な話、「承諾書」を紙で交付して、それを回収してから「契約書」のデジタル交付をするなど、壮絶な二度手間です。(バカじゃないの?と言いたくなるクソ制度です)
その「承諾書」の交付要件も、実に細かなルールがあって、それを守るのはかなり厄介です。
中途半端な理解で「承諾書」を発行していたら、かなり高い確率で不備があると認定されてしまうでしょう。
それなら従来通り、電話勧誘販売契約書は紙で郵送したほうが無難で面倒はありません。
なぜ、そんな絵にかいた餅のような「契約書のデジタル交付の解禁」なんて改正があったのか?
それはDX推進する政府と証拠隠滅が可能なデジタル交付に警戒する消費者団体との攻防があって、その折衷案として一部解禁という“実質的に使えない”改正内容に落ち着いたというドラマがあったわけです。(消費者団体の言い分も大いに理解できます)。
そのあたりの詳しい事情に興味あるという方は以下のリンク先note記事をご参照下さい。
オンライン型の英会話教室の契約書をデジタル交付するための手続について特商法ジャングルの奥地より解説|遠山桂note
まとめ
本記事を端的にまとめると以下のようになります。
通信販売でもアップセルやクロスセルを行う場合には電話勧誘販売用の契約書を交付する義務がある。
特定商取引法の義務である契約書は原則として紙媒体で交付する必要がある。
例外的対応として、契約書をデジタル交付するには「承諾書」を紙媒体で交付する必要がある。(それが余計に厄介な手続を増やすので、ほとんどデジタル交付は行われていない)。
この結論としては、メインは通信販売だったとしても、LINE等でアップセル・クロスセルを行うなら特定商取引法の要件を満たす電話勧誘販売用の契約書を用意しておき、それを郵送で交付することを徹底しましょうということになります。
その場合、8日間のクーリングオフにも対応することが義務化されますが、それは法務対応コストとして受け入れるしかありません。
これを回避しようと画策すると、それはもう特商法違反の闇ビジネスになってしまいます。
正々堂々とマーケティングを行い、法務対応意にも備えることでビジネスの持続可能性が高まります。
顧客からも信頼され、長く続くビジネスを志向しましょう。
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インターネット・ビジネスに取り組まれる方は、以下のリンク先ページをご参照下さい。
ウェブ広告から電話に誘導するビジネスでは契約書の交付が必要になります|遠山行政書士事務所
以下のnote記事でもインターネット・ビジネスでの特定商取引法対策について書いております。
有料記事になりますが、無料部分だけでも役立ちます。
ネット・SNSビジネスで特定商取引法の違反リスクを避ける表示・広告対策
このニュースレターのバックナンバーは以下のリンク先をご参照下さい。



